2016/09/15
株式会社・有限会社等の法人であれば、事業規模や資本金にかかわらず、持株比率(発行している株式全体の中でどのくらいを保有しているか)というものが会社を運営する上で非常に重要となってきます。この持株比率が高いほど、株主総会で議決権を行使しやすくなるため、経営者やその後継者にとっては、発行済株式総数の何パーセントを保有しているかということは、会社を自分の思い通りに運営していくだけではなく、自分自身の身分の保全(取締役の選任・解任決議等)にも関わる問題なのです。そのため、経営者・後継者が会社を安定的に支配していくためには、いかに自社株式の分散を防止し、経営者あるいはその後継者に株式を集中させるかが重要になってきます。
まず、経営者による自社株式の買取りをする方法があります。経営者が自社株式を買い取ることで、散らばった会社の株式を整理し、経営者の持株比率を高めることができます。経営者が自社株式を買い取ることは、将来の事業承継をうまく進めるための準備として有効です。経営者が事前にこのような対策をうっておけば良いのでしょうが、現経営者が行っていない場合は、後継者自身で自社株式の買取りを行うことも必要となってきます。
いずれにしても、自社株式を買い取ることになれば、その買い取り資金をどう確保するのかが重要となってくるでしょう。この買い取り価格が高額になれば、自己資金では足りず、会社からの借り入れ、あるいは金融機関からの借り入れなどの問題も生じてきます。後継者にさほど実績がなく、会社からの協力なども得られなければ、不動産等の担保がない以上、銀行融資も困難となるでしょう。
例えば、会社の業績が良く、自社株式の株価が高額な場合は、いかに自社株式の評価を下げる対策をするかが重要になってきますが、会社に顧問税理士などがいる場合は早くから相談しておくことが大切です。自社株式を買い取る場合、買取り資金の問題の他、買い取ろうとする株式を持っている人といかに友好な関係を保つかがポイントになってきます。株式の買取りは「売買契約」であり、売主である現株主が合意しない限りは成立しないからです。経営者・後継者と他の株主との間で信頼関係が破たんしている場合等はそもそも買取り自体が成立せず、経営者、後継者は分散している自社株式を自分に集中することができなくなり、会社運営に大きな影響を及ぼすことになります。
その他、自社株式の買い取り以外で、第三者割当増資を行うことも有効と考えられます。これは、経営者や後継者等、特定の者に新株を割り当てる増資のことです。これにより会社が発行する株式総数が増大し、後継者などの特定の株主の議決権の数が増え、会社の支配権をコントロールすることも可能となります。
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