2016/09/17
(1)議決権制限株式
議決権制限株式とは、株主総会の決議において、議決権の一部又は全部の行使を制限された株式のことをいいます。議決権の制限には特に条件などないため、株主総会決議で剰余金の配当決議のみ制限するなど、決議の一部のみについての設定も可能となります。この株式を利用して、後継者以外の株主の議決権を制限し、議決権の行使を後継者のみに集中することができれば事業承継のために有効といえます。また、議決権制限株式は、株主の権利のうち、財産権に関するもの、すなわち配当金の分配権などは株主の手元に残るため、この株式の配当金額を普通株式の配当金額より高く設定することで、他の株主の理解も得やすくなります。
(2)取得条項付株式
取得条項付株式とは、会社が一定の事由が生じた際に、株主から株式を買い取ることができる株式です。これは、「会社が強制的にその株式を取得することができる」と定められた株式で、会社側に選択権、すなわちコールオプション(買う権利)が付いている株式のことです。
相続などによって株式が分散している場合でも、会社が相続人から強制的に株式を買い取ることができるので、後継者へ分散している株式を集中させることができます。
(3)拒否権付株式
拒否権付株式とは、通称「黄金株」とも呼ばれ、非常に権限の強い株式です。株主総会の決議でどれだけ多数の株主の賛成を得たとしても、この拒否権付株式1株を持っている株主の意向でその決議内容を覆すことができるのです。
たとえば経営者が後継者に経営権を譲る際に、「後継者が一人前になるまでは、後継者の監視をしたい」という理由で1株の拒否権付株式を保有するような場合です。それによって、経営者の発言権や会社への影響力を温存させながら、後継者へのバトンをうまく渡すことができます。
ただ、これだけ強い権利の株式ですので導入する場合は様々なリスクも視野に入れて検討する必要はあるでしょう。
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