2018/01/09
個人で収益不動産を所有する場合、その賃料収入は個人のものとなりますので、個人の所得税の負担が増大します。そして、個人の財産が膨らんでいけば、いずれ相続が発生した場合の相続税も増大します。
ですから、所得税・相続税の節税のために、既に不動産管理会社を設立されている方も多いようです。従来の方法では、不動産管理会社の運営形態は以下の3つの種類がありました。
(1)管理委託型
(2)サブリース型(一括貸借型)
(3)不動産所有型
いずれの場合も被相続人に蓄積される収入の一部もしくは大部分を、同族で運営する不動産管理会社に移転する効果がありますので、個人所得や相続財産の増加を抑制する効果があります。しかし、(1)(2)の場合、不動産管理会社に支払う管理料の水準が高すぎると税務調査で否認されますので実際は所得分散の効果があまりなく、(3)の場合、所有権移転のため多額の経費の支払いが必要になりますので節税効果をほとんど得られない可能性があります。
そこでご提案したいのが、不動産管理会社として一般社団法人を設立し、収益不動産をその法人に信託する方法です。信託財産を収益不動産として、受託者を一般社団法人、受益者を収益不動産オーナー様と設定することで、不動産の形式的な所有権が一般社団法人に移ります。そうすると、上記(1)や(2)と異なり、不動産の管理・処分等の一切を法人が行うことができるようになります。また、不動産は法人名義となりますが、上記(3)のケースと異なり、多額の所有権移転登記費用や不動産取得税はかかりません。受託者が個人の場合、受託者が判断能力を失った場合や死亡した場合に信託スキームが麻痺してしまいますが、そういうリスクを回避する意味でも法人に信託することのメリットは大きいと考えられます。
受託者である一般社団法人が得られる信託報酬が税務上どれくらい認められるのか、はっきりしないという点が問題点といえるかもしれません。まだまだ信託は実務的に新しい手法で課税当局では事例も少ないのが実情です。ただ、法人の行う管理業務や契約事務の広範さから考えて、(1)や(2)のケースよりずっと多額の所得分散が可能となると考えられますので、収益不動産オーナー様には今後強くおすすめしていきたい節税スキームです。
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