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2016/08/03

財産分与の注意点

(1)財産分与の日付について

 登記される財産分与の日付は、財産分与の協議が成立した日です。ただし、協議離婚による場合で、離婚届提出前に財産分与の協議が成立していたときには、離婚届を提出した日が財産分与の日付となります。

(2)住宅ローンの債務者変更について

 住宅ローンが残っている不動産を財産分与する場合、財産分与による所有権移転登記をしても、住宅ローンの債務者は変更されません。たとえば、夫が所有者で、かつ住宅ローン債務者である不動産を妻に財産分与し、それに伴う所有権移転登記をしたとします。この場合、所有者は妻となりますが、住宅ローン債務者は夫のままです。

 もしも、債務者の変更をするならば、借入先(銀行等)の承諾を得る必要がありますが、なかなか難しい場合も多いでしょう。

 なお、債権者の承諾を得ていなくても、財産分与による所有権移転登記をしてしまうことは可能です。しかし、借入先に無断で名義変更をするのは、住宅ローン契約に違反する可能性が高いので注意が必要です。

(3)離婚公正証書の作成

 協議離婚をする際に、財産分与、慰謝料、養育費などの取り決めをするときには、離婚協議書を公正証書により作成することをお勧めします。離婚給付契約についての公正証書があれば、支払いがおこなわれなかった際に、ただちに相手方の財産に強制執行(差押え)をすることができるからです。

(4)財産分与と税金

 財産分与として不動産の名義を変更した場合に、贈与税がかかることは通常ありません。財産分与は贈与ではなく、財産分与は夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のためにおこなわれるものだからです。また、不動産取得税についても、共有財産の清算的な財産分与であれば課税されません。

 ただし、財産分与をした側には譲渡所得の課税がおこなわれることになります。さらに、不動産の名義変更をする際には、登録免許税もかかります。